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最高裁判所第三小法廷 平成7年(行ツ)101号 判決

愛知県小牧市大字北外山字下小管四二〇三番地の一

上告人

東海化成工業株式会社

右代表者代表取締役

松田兼範

字哥津三六〇〇番地

上告人

東海ゴム工業株式会社

右代表者代表取締役

大北勝彦

右両名訴訟代理人弁理士

中島三千雄

笠井美孝

神戸典和

池田治幸

東京都千代田区霞が関三丁目四番三号

被上告人

特許庁長官 荒井寿光

右当事者間の東京高等裁判所平成五年(行ケ)第二二五号審決取消請求事件について、同裁判所が平成七年二月二八日言い渡した判決に対し、上告人らから全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人中島三千雄、同笠井美孝の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、右事実関係の下においては、本件発明が進歩性を欠くとした原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に立って原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 園部逸夫 裁判官 可部恒雄 裁判官 大野正男 裁判官 千種秀夫 裁判官 尾崎行信)

(平成七年(行ツ)第一〇一号 上告人 東海化成工業株式会社 外一名)

上告代理人中島三千雄、同笠井美孝の上告理由

一、上告の理由

原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背があり、その判断は経験則に違反すると共に、判例に違反し、また理由不備であるから、破毀されるべきである。

(一)本件事件の経緯

上告人は、昭和五六年一月一六日、名称を「芯材付発泡製品の製造法」とする発明(以下、「本願発明」という。)につき特許出願(昭和五六年特許願第五八〇六号)したが、平成三年九月二七日拒絶査定を受けたので、平成三年一一月二〇日、これに対し審判を請求した。特許庁は、同請求を平成三年審判第二二二〇七号事件として審理し、平成四年一一月一六日に特許出願公告した(平成四年特許出願公告第七一六九〇号)が、特許異議申立てかあり、平成五年一〇月二七日、特許異議の申立は理由があるとの決定と共に、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をした。上告人は、これに対して、平成五年一二月二四日付けで、審決を取り消すべき旨の訴訟を東京高等裁判所に提訴した。これは東京高等裁判所平成五年(行ケ)第二二五号審決取消請求事件として審理され、平成七年二月二八日、「請求を棄却する。」との判決(以下、「原判決」という。)が言渡され、同判決は平成七年三月一日、上告人に送達された。

(二)上告人が不服とする原判決の要点

イ.(a)原判決の判決書第八頁第二行~第一一頁第一六行に記載の如く、上告人は、審決取消事由一として、

『審決は、本願発明における「被膜を芯材に被着する」構成が、引用例(特公昭四八-三〇一三六号公報)に記載の「薄膜でファンデーションを密接状に覆う」という構成と同じであるとしているが、本願発明の構成要素である「被着」は「接着剤等の適当な手段で離脱不能に固着すること」を意味し、単にファンデーション表面に沿って薄膜を配するに過ぎない引用例に記載の構成とは相違することが、本願特許出願公告公報および引用例の記載から明らかである。』

旨、主張した。

これに対して、原判決は、判決書第二三頁第一三行~第三四頁第六行に記載の如く、

『引用例記載のものにおいて、薄膜はファンデーションから分離することが可能なものとして覆われるものであると認められるのに対し、本願発明の特許請求の範囲に記載されている「芯材の発泡体層が形成される側の面に被着して芯材を覆う被膜を存在せしめる」というのは、被膜を芯材から取り外すことを前提としない態様のものとして、被膜を芯材に接着、融着したり、あるいは被膜自体を形成しているものであると認めるのが相当である。』

旨、認定し、「被膜を芯材に被着する」構成を有する本願発明が、単にファンデーションを薄膜で覆う構成を開示するに過ぎない引用例に記載の発明とは、構成上において相違することを、一応、認定したが、

『本願発明における「被膜を芯材に被着する」構成も、引用例に記載の「薄膜でファンデーションを密接状に覆う」構成も、被膜(薄膜)が芯材(ファンデーション)を密接状に覆い、発泡材料が漏れて芯材(ファンデーション)の裏側に廻り込むことを防止するという機能を果たすという点では共通しており、本願発明において被膜が芯材に接着等していて取り外しを前提としない態様のものであること自体に格別の技術的意義は存しないのであるから、両者は同じであるとした審決の認定に誤りはないというべきである。』

旨、認定し、その結果、上述の本願発明と引用例との構成上の相違点を、実質的に同一とする判断を下した。

(b)併せて、原判決は、

『本願発明においては、芯材の穴を被膜によって覆蓋し、被膜を芯材に対して被着せしめたことから、被膜が穴の周縁部において、芯材に固着されて穴を展張状態で覆うこととなり、発泡圧が作用した場合でも、芯材に対して被膜が移動することが阻止されて、穴を覆う被膜が発泡圧で穴の外方に押し出されるようにして膨らんだりすることがなく、展張状態に維持され得るのであり、その結果、略一定の発泡空間容積を確保することができて、注入量に見合う発泡材料の発泡が確実に行われ、発泡ムラ等が防止されるものであるのに対し、引用例に記載の、単に、ファンデーション表面を薄膜で覆っただけの構成では、このような本願発明と同等の効果は到底得られず、この点からも、「被膜を芯材に被着する」という、本願発明の構成の技術的意義が明らかであって、引用例に記載の構成とは、同一でない。』(判決書第九頁第八行~第一一頁第一六行)

旨の、上告人の主張に対して、

『本願公告公報を精査しても、本願発明において、注入量に見合う発泡材料の発泡が確実に行われ、発泡ムラ等が防止されるのが、原告ら主張のような技術的事由により発泡空間容積が確保されることによるものであるといった趣旨の開示はもとより、このことを示唆する記載も存しない。本願明細書には、・・・と記載されており、これらの記載によれば、注入量に見合う発泡材料の発泡が確実に行われず、そのために不均一な発泡による空洞の発生や硬度ムラ等が生じるのは、発泡材料の漏れに起因するものであり、本願発明においては、原告ら主張のような技術的事由による発泡空間容積の確保によってではなく、発泡材料の洩れがなくなったことによって、上記のような各種の問題点が解消されたものであることが認められる。』(判決書第三二頁第一四行~第三四頁第五行)

旨、判断し、以て、原告らの主張は採用できないとしている。

ロ.原判決の判決書第一五頁第一行~第一六頁第一一行に記載の如く、上告人は、審決取消事由四として、

『芯材に被膜を被着した本願発明においては、被膜が発泡圧で外方に膨らんで発泡空間容積を増大させることがなく、略一定の発泡空間容積内で発泡が行われることから、確実且つ均一な発泡が達成されるのであり、以て、ファンデーションに薄膜を被着しない引用例に記載の構成で問題となる、不均一な発泡による空洞の発生等が、防止されるといった顕著な効果を奏し得たものであってみれば、かくの如き本願発明の効果について、当業者が普通に予測し得る程度のものであるとした審決の判断は誤りである。』

旨、主張した。

これに対して、原判決は、判決書第四一頁第一〇行~第四三頁第一二行に記載の如く、前記イ(b)における判断を引用し、かかる上告人の主張が失当であることは明らかである旨、判断した。

(三)上告人が不服とする点

前記(二)イの認定、判断は、経験則に違背すると共に、判例に違背し、又は理由不備であり、更に、前記(二)ロの認定、判断は、理由不備の違法性があり、また判例に違背していると言わざるを得ない。

イ.先ず、前記(二)イの認定、判断に対して不服とする点について述べる。

(a)原判決は、前記のように、「被膜を芯材に被着する」本願発明の構成が、被膜の芯材からの取り外しを前提とせずに接着等で実現されるものであって、引用例に記載の取り外しを前提として薄膜でファンデーションを覆う構成とは、相違することを認めるものの、そのような構成上の差異自体に格別の技術的意義が存しないとして、両者の構成は実質的に同じであると認定している。

しかしながら、かかる原判決の認定は、「引用例に記載の如く、単に、ファンデーション(芯材)の表面を薄膜(被膜)で覆い、ファンデーション裏側への発泡材料の廻り込みによる洩れを防止するだけでは、到底、ボイド(空洞)の発生を防止することが出来ない」ことが、引用例の記載および当業者の技術常識からして自明のことで、明らかな経験則であるに拘わらず、これを無視して経験則に反した違法な事実認定を行ったものであり、このような経験則に反した判断をした原判決には、破毀理由がある。

すなわち、本件訴訟における原告準備書面(4)の第二頁第一行~第九頁第一九行において主張したように、引用例に記載の如く、被膜の芯材に対する被着構造を採用せず、単に芯材表面を覆うように被膜を配しただけの構造では、この度附属書類として添付した参考図面の図A、Bに示される如く(理解を容易とするために、参考図面中、本願発明の構成と対応する部材等には、何れも、本願公告公報と同一の符号を付しておく)、発泡前に被膜(18)を芯材(16)の表面に沿って密接状に配し、穴(22)を展張状態で覆い得たとしても(参考図面の図A参照)、発泡材料の発泡圧が作用した際、参考図面の図Bに示されるように、かかる発泡圧が被膜(18)に及ぼされて、芯材(16)の穴(22)から被膜(18)が外方(芯材の裏側方向)に向かっで膨らむことが避けられないのであって、かかる事実は、ウレタン樹脂の場合で発泡圧が2~3kg/cm2にもなり、たとえ被膜(18)の外周縁部を成形型(5、6)間で挟んで保持したとしても、発泡時には成形型の型合わせ面から発泡材料が漏れ出すことが多く(引用例の第2図、第3図参照)、成形型の型合わせ面が実質的に開いた状態となって、薄膜の外周縁部に対する有効な保持力が確保され難いという、周知の事実からも明らかなところである。

また、仮に、発泡時にも被膜(18)の外周縁部の成形型(5、6)による保持状態が維待され得たとしても、被膜(18)が芯材(16)に固着されていないために、被膜(18)全体の伸びが、芯材(16)の存在しない穴(22)の覆蓋部に集中することにより、被膜(18)が穴(22)から外方に向かって膨らむことは、当然に予想されるところである。

そして、このように、被膜(18)が、芯材(16)の穴から外方に向かって膨らむと、発泡空間容積が増大してしまい、発泡材料に対する発泡空間が大きくなり過ぎることに起因して、ボイド(参考図面の図B中、符号11で示す空洞部分)が発生し易くなることは、引用例に「発泡が部分的に不具合で空洞を生じたときには、薄膜においてファンデーションから分離することにより、該薄膜を透して発泡液を注入することができるので、その作業を容易にしきめ細かな補修が容易に行われる」旨の記載があり、空洞の発生を当然のこととして予測して、その補修を容易とする効果が主張されていることからも明白であり、従って、引用例に記載の如く、単に芯材表面を被膜で覆うだけの構成ではボイド等は到底防止され得ないという事実は、それ程の専門的知識や法則を必要としなくても、当然に理解されるところであって、明らかな経験則として認識されるべきものであると言わざるを得ない。

これに対して、本願発明は、「被膜を芯材に被着する」という特徴的構成を採用したことによって、この度添付した参考図面の図A、Cに示され、また本願公告公報の第7図乃至第9図にも明示されているように、被膜(18)が穴(22)の周縁部において芯材(16)に固着されて該穴(22)を展張状態で覆うこととなり、芯材(16)に被着されている(参考図面の図A参照)が故に、参考図面の図Cに示されるように、発泡材料の発泡圧が作用した場合でも、芯材(16)に対して被膜(18)がズレたり移動したりすることが阻止されて、穴(22)を覆う被膜(18)が発泡圧で穴(22)の外方に押し出されるようにして膨らんだりすることが防止され、展張状態に維持されることとなったのであり、そして、このように、発泡時にも、芯材(16)の穴(22)からの被膜(18)の膨らみが防止されることによって、はじめて、発泡空間容積の増大が抑えられて略一定の発泡空間容積が確保され、発泡材料の注入量に見合う発泡が確実に行われることとなったのであって、その結果、ボイド(空洞)の発生が有効に防止されることも、当業者の技術常識を考慮すれば、本願公告公報の記載から明らかなところである。

要するに、本願発明は、引用例に記載の如く単に芯材の表面を被膜で覆うだけでなく、それに加えて、被膜を芯材表面に被着せしめたことにより、はじめて、発泡時における被膜の芯材穴からの膨出を抑えて発泡空間容積を略一定に確保し、以て、ボイドの発生を防止せしめたのであり、そこに、本願発明の技術的意義が存するのである。

しかるに、原判決は、前述の如き、単に芯材表面を被膜で覆うだけの構成ではボイド(空洞)等は到底防止され得ないという明らかな経験則を無視し、且つ、被膜を芯材に被着せしめたことによって発揮されるボイド発生防止という技術的意義を看過して、『本願発明において被膜が芯材に接着等していて取り外しを前提としない態様のものであること自体に格別の技術的意義は存しないのであるから、本願発明における「被膜を芯材に被着する」構成と、引用例に記載の「薄膜でファンデーションを密接状に覆う」構成とは、同じである』と、認定したものであるから、そこには経験則に反した違法な事実認定が存し、明らかな法令違背があると言わなければならない。

なお、原判決認定のように、本願発明における「被膜を芯材に被着する」構成と、引用例に記載の「薄膜でファンデトションを密接状に覆う」構成とが、同じ技術的意義を有するに過ぎないものであるとしたならば、引用例に記載の構成においても、本願発明と同様な効果が発揮されてしかるべきであるが、かかる引用例においては、ボイド(空洞)の発生を当然のこととして、その補修が容易であるといった効果が主張されており、そのような引用例に記載の構成では、「注入量に見合う発泡材料の発泡が確実に行われ得て均一な発泡が達成され、以て従来の如き不均一な発泡による空洞の発生や硬度ムラ等による製品不良の問題を完全に解消し、発泡後の補修も不要と為し得た」という、本願発明によって達成される効果が発揮され得ないこと、明らかであり、そこに論理上の矛盾点が存しているのである。

要するに、原判決は、前述の如き経験則に反して、本願発明における「被膜を芯材に被着する」構成と引用例に記載の「薄膜でファンデーションを密接状に覆う」構成とが同じであると認定したことによって、前述の如き効果に関する論理上の矛盾点を内在することとなったものであり、換言すれば、原判決がこのような重大な矛盾点を内在していることからも、原判決が経験則の認定に重大な誤りを犯していることは極めて明らかである。

(原判決は、かくの如き効果に関する論理上の矛盾点について、何等の説示もしておらず、そこに判断遺脱乃至は理由不備の違法性が存すると解されるが、この点に関しては、後記ロ(a)において詳述する。)

(b)原判決は、前述の如く、芯材を覆う被膜を芯材に被着したことにより、発泡時における穴からの被膜の膨出が抑えられて、略一定の発泡空間容積が確保される結果、ボイドや発泡ムラ等の防止効果が発揮されるのであり、そこに、被膜を芯材に被着せしめた構成の技術的意義が存する旨の、上告人らの主張に対して、「本願公告公報を精査しても、本願発明において、注入量に見合う発泡材料の発泡が確実に行われ、発泡ムラ等が防止されるのが、原告ら主張のような技術的事由により発泡空間容積が確保されることによるものであるといった趣旨の開示はもとより、このことを示唆する記載も存しない。本願明細書には・・・と記載されており、これらの記載によれば、注入量に見合う発泡材料の発泡が確実に行われず、そのために不均一な発泡による空洞の発生や硬度ムラ等が生じるのは、発泡材料の漏れに起因するものであり、本願発明においては、原告ら主張のような技術的事由による発泡空間容積の確保によってではなく、発泡材料の洩れがなくなったことによって、上記のような各種の問題点が解消されたものであることが認められる。」と認定し、それ故、本願発明において被膜が芯材に接着等していて取り外しを前提としない態様のものであること自体に格別の技術的意義は存しない旨、判断している。

しかしながら、かかる原判決は、本願発明の明細書(公告公報)の記載内容を特別な理由なく限定的に解釈し、しかも、専ら本願公告公報の記載字句のみに拘泥して本願発明における「被膜を芯材に被着した」構成の技術的意義を認定、判断したものであり、このように発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(当業者)の技術常識を何等考慮せずに判断した原判決には、判例違反の破毀理由がある。

すなわち、本願発明の明細書(公告公報)には、原判決が指摘せるように、確かに、注入量に見合う発泡材料の発泡が確実に行われてボイド等が防止されるのが、被膜を芯材に被着したことによって発泡時における被膜の芯材穴からの膨出が抑えられて発泡空間容積が確保されることによるものであるという記載が、直接且つ明確には為されていない。

しかしながら、前記(a)で詳述したように、

(ⅰ)被膜を芯材に被着することなく、単に芯材を被膜で覆っただけの構成では、発泡圧の作用によって被膜が芯材に対してズレて穴から膨出してしまうことが抑えられず、それ故、ボイド等の発生が防止され得ないことが、引用例の記載からしても、また当業者の技術常識からしても明らかであること、

(ⅱ)仮に、原判決認定の如く、『ボイド等の防止効果が、被膜を芯材に被着せしめた構成を採用したことに基づくものではなく、芯材を被膜で覆って発泡材料の芯材裏側への廻り込みによる洩れを防止したことのみに基づくものであって、それ故、「被膜を芯材に被着せしめた」本願発明の構成は、「被膜で芯材を密接状に覆う」引用例に記載の構成に比して技術的意義を有せず、両者は同じである』としたならば、引用例に記載の構成においても本願発明と同様なボイド等の防止効果が発揮されてしかるべきであるのに、引用例に記載の構成では、ボイド発生が有効に防止されないことが引用例自体の記載からも明らかであり、そこに、論理上および技術解釈上の明らかな矛盾点が存在すること、

(ⅲ)被膜を芯材に被着することによって、被膜の芯材に対するズレが防止されることから、発泡圧が作用した場合でも、被膜の穴からの膨出が有効に抑えられて、一定の発泡空間容積が確保されることが、本願発明(公告公報)の第8、9図に明示されており、また当業者の技術常識を参酌すれば当然のこととして理解されるものであること、

(ⅳ)本願発明の明細書には、確かに、芯材の穴が被膜で覆われており、発泡材料の芯材裏側への廻り込みが防止されることから、ボイド等の発生が防止される旨の記載があるが、ボイド等の防止が、そのような技術的理由だけによるものであると限定する旨の記載は一切なく、また、被膜を芯材に被着せしめたことと相まって、ボイド等の発生防止効果が達成されることは、引用例の記載および当業者の技術常識を考慮すれば、本願発明の明細書の記載からして当然に理解され得るものであること、

(ⅴ)「被膜を芯材に被着した」構成は、出願当初より本願発明の必須の構成要素とされていた事実(この度附属書類として添付した本願公開公報(特開昭五七-一二〇四二一号公報)参照)より、本願発明の発明者は、「ボイド等の防止」という効果を達成するために、単に芯材を被膜で覆うだけでは足らず、被膜を芯材に被着せしめることが必要であり、それによって、略一定の発泡空間が確保されて、安定した発泡が実現されることは、当然のこととして認識しており、従って、明細書も、そのような認識を前提として記載されていると解すべきであり、それによって何等の矛盾も生じないこと、

(ⅵ)本願明細書の発明の詳細な説明を参酌すれば、「被膜を芯材に被着した」構成は、被膜を芯材から取り外すことを前提としない態様のものとして、被膜を芯材に接着、融着したり、或いは被膜自体を形成しているものであると認めるのが相当である旨、原判決も認定しているように、「被膜を芯材に被着した」構成自体は、明細書において充分に明確に開示されており、当業者であれば、かかる明細書の記載に従って本願発明を容易に実施することが可能であり、しかも、それによってボイド等の発生防止という本願発明の効果が有効に享受され得ることが、経験則に基づいて明らかであること、

等を総合的に考慮したならば、本願発明が特徴とする「薄膜を芯材に被着した」構成の技術的意義は、本願発明の明細書の記載に基づいて、前記上告人主張の通りに理解されるべきこと、明らかなところである。

そして、かくの如く、本願発明が特徴とする「薄膜を芯材に被着した」構成の技術的意義を認定するに際して、明細書に明記された字句だけでなく、当業者の技術常識をも考慮すべきであることは、従前の学説、判例の認めるところなのである。

すなわち、明細書は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に、発明の目的、構成及び効果を記載することを要求されているだけであって、それ以上に出願時の技術水準に属する自明な事項まで記載することが要求されている訳ではなく、また、そのような自明な事項は当業者であれば明文の記載がなくとも当然記載されているものと同様に明細書を読むことが出来るのであって、具体的に如何なる効果が、如何なる理由によって、如何なる程度に生じるかについては、直接、明細書中に記載がなくとも、当業者において周知事項を前提にして、明細書の記載から、発明を容易に実施することが出来る程度に発明を認識することが出来る限り、明細書の記載要件を満たしており、更に、明細書に明確に記載されていなくとも、構成自体により経験則上明らかな効果があれば、進歩性の根拠とすることが出来るということは、従来から学説上および判例上、認められ、通説となっているところなのである(昭和四五年一一月一九日東京高等裁判所判決・昭和四三年(行ケ)第二三号、昭和五二年七月一三日東京高等裁判所判決・昭和四七年(行ケ)第一八号、昭和五五年五月二八日東京高等裁判所判決・昭和五二年(行ケ)第一九九号、昭和五五年九月一〇日東京高等裁判所判決・昭和五一年(行ケ)第一四三号、昭和五五年一二月二二日東京高等裁判所判決・昭和五〇年(行ケ)第七三号(以上、何れも、第一法規出版株式会社刊行の「判例工業所有権法」に掲載された判決要約文を、附属書類として添付する)等参照)。

しかるに、原判決は、明細書に明確には記載されていないことだけを理由に、「被膜を芯材に被着する」という本願発明の構成が有する技術的意義を、特別な理由を付することなく、否定し、以て、かかる本願発明の構成が、引用例に記載された、単に芯材を被膜で密接状に覆うだけの構成と同じであると認定したものであり、それ故、この点において、原判決は、当業者の技術常識を前提として明細書の記載を判断しなければならないとする、従前の判例に違反することが明らかであり、明らかな法令違背があると言わなければならない。

(c)仮に、原判決が、明細書の記載だけによらず、経験則や当業者の技術常識をも参酌して判断したにも拘わらず、前述の如く、被膜を芯材に被着する本願発明の構成に格別の技術的意義が存せず、かかる構成が、引用例に記載された単に被膜で芯材を密接状に覆う構成と同じである、と判断したものであったとしても、そこには、理由不備の違法があり、従って、原判決は破毀されるべきである。

すなわち、本願発明と引用例に記載の発明との構成上の相違点についての技術的意義乃至は作用・効果の判断は、本願発明の特許性、延いては原判決に対して直接的な理由付けとなるものであり、原判決に与える影響が極めて多大であることは明らかである。

それ故、仮に、原判決が、明細書の記載を解釈するに際して当業者の技術常識を考慮していたならば、少なくとも、前記(a)及び(b)(i)~(v)に述べたような、当業者の技術常識に基づく判断が妥当でないことにつき、判決にその理由を付する必要があると考えられるのである。

そして、特に、前記(a)でも指摘したように、本願発明と引用例の構成が同じであるとしたならば、それら両者の構成によって何れも同一の効果が発揮されてしかるべきであるのに、引用例および本願発明の明細書の記載と当業者の技術常識を考慮すれば、引用例においては、本願発明によって達成されるボイドの発生防止効果が到底発揮され得ないことが明らかである、という技術的な矛盾点を認識することが出来る以上、仮に、原判決が、明細書の記載を解釈するに際して当業者の技術常識を考慮していたならば、かかる矛盾点についても、判決においてその釈明を為すべきであると考えられる。

しかるに、原判決は、「本願公告公報を精査しても・・・あるといった趣旨の開示はもとより、このことを示唆する記載も存しない。本願明細書には・・・と記載されており、これらの記載によれば・・・ものであることが認められる。」(判決書第三二頁第一四行~第三四頁第四行)とされており、明細書に記載がないことによる理由付けしかされておらず、他に何等の特別な理由も記されてはいないのである。

従って、原判決が、仮に、経験則や当業者の技術常識を考慮して判断したものであっても、その点についての説示を欠き、理由を付していない以上、そこには判断遺脱があり、理由不備の違法性を免れ得ないと言わなければならない。

ロ.次に、前記(二)ロの認定、判断に対して不服とする点について述べる。

(a)原判決は、前記のように、「ボイド等の発泡不良が防止される」といった本願発明の効果は、原告ら主張のような技術的事由(被膜を芯材に被着したことにより、発泡時における芯材穴からの被膜の膨出が抑えられること)による発泡空間容積の確保によってではなく、発泡材料の洩れがなくなったことに基づいて発揮されるものである旨、認定し、以て、本願発明と引用例記載のものとの効果の相違の主張を失当であると判断している。

しかしながら、かかる原判決は、本願発明の明細書に明記された本願発明の効果に関して、実質的な説示を欠いており、判決に理由を付せず、判断遺脱、理由不備の違法性を有する原判決には、破毀理由がある。

すなわち、本願発明においては、「ボイド等の発泡不良が防止されて、発泡後における発泡材の補修等が不要となる」といった効果が発揮されることが明らかであり(公告公報第五欄第三〇~三五行、同第8~10図等参照)、一方、引用例に記載のものにおいては、「ボイド(空洞)の発生を前提とし、発生したボイドの発泡後における補修を容易とする」効果を発揮するに過ぎないものである(引用例第二欄第二八~三六行)ことは、何れも、本願発明の明細書(公告公報)および引用例の記載から、明らかなところである。

なお、このような本願発明と引用例に記載のものとの効果上の差異は、単に芯材の表面を被膜で密接状に覆うだけの引用例の構成に加えて、本願発明では、被膜を芯材に被着せしめた構成に基づくものであることが、当業者の技術常識を参酌すれば、本願発明の明細書(公告公報)と引用例の記載から容易に理解され得ることは、既に述べたところである。

要するに、本願発明は、ボイド等の発生を防止して発泡成形後の補修を不要と為し得た点に大きな技術的効果を有するのであり、かかる効果が、従来技術に比して作業性、コスト性等を飛躍的に向上せしめ得る格別なものであることは、引用例の記載からも明らかなところである。

しかるに、原判決は、このような本願発明の格別な効果に関して、実質的に何等の判断もしておらず、単に、「不願明細書の記載によれば、原告ら主張のような技術的事由(被膜を芯材に被着したことにより、発泡時における芯材穴からの被膜の膨出が抑えられること)による発泡空間容積の確保によってではなく、発泡材料の洩れがなくなったことによって、ボイド等の各種の問題点が解消されたものであると認められる」ことだけを理由に、上述の如き、本願明細書と引用例の記載から明らかな効果上の相違点に関する上告人の主張の一切を、妥当でないとして否定しているのである。

しかしながら、「ボイド等の発生を防止して発泡成形後の補修を不要と為し得た」という本願発明の格別な効果が、本願明細書と引用例の記載から明らかである以上、このような効果を否定するためには、少なくとも、本願発明の構成によっては、かくの如き効果が発揮され得ず、引用例に記載のものと同様な効果しか発揮され得ない理由を、判決において技術的に且つ具体的に説示する必要があると考えられるのである。

けだし、本願明細書と引用例の記載から明らかな効果上の相違点に関する上告人の主張の一切を、妥当でないとして否定した原判決が、本願明細書と引用例の記載から明らかである「ボイド等の発生を防止して発泡成形後の補修を不要と為し得た」という本願発明の格別な効果自体を、否定するものであるとしたならば、かかる原判決は、明細書に明記された技術的効果を何等の技術的根拠を付することなく否定したものであって、明らかに理由不備であると言わざるを得ないのである。

一方、仮に、原判決が、「ボイド等の発生を防止して発泡成形後の補修を不要と為し得た」という本願発明の格別な効果自体は否定するものでないとしたならば、かかる引用例と本願発明との効果上の相違は如何なる構成上の相違に基づくものであるのか、判決にその理由を付する必要があると考えられるのである。

従って、この点についての説示を欠く原判決は、判断遺脱であり、理由不備の違法性を免れ得ないと言わなければならない。

(b)加えて、原判決は、前記(a)に詳述したように、「ボイド等の発生を防止して発泡成形後の補修を不要と為し得た」という、本願発明の明細書に明記された本願発明の効果に関して、実質的な説示を欠くものである以上、「効果において差異ある場合は、それらについて判示しなければ違法である」とする従前の判例(昭和一三年七月二九日大審院判決・昭和一二年(オ)第一五五〇号(第一法規出版株式会社刊行の「判例工業所有権法」に掲載された判決要約文を、附属書類として添付する)等参照)に対して、判例違背の違法性を有しており、かかる点においても、破毀理由が存するのである。

(c)しかも、前述の如く、「ボイド等の発生を防止して発泡成形後の補修を不要と為し得た」という、本願発明の明細書に明記された本願発明の効果が、当業者の技術常識を参酌すれば、単に芯材の表面を被膜で密接状に覆うだけの引用例の構成に加えて、本願発明では、被膜を芯材に被着せしめた構成を採用したことに基づくものであることが、本願発明の明細書(公告公報)と引用例の記載から容易に理解され得るものであってみれば、本願発明が、「被膜を芯材に被着する」構成を採用することによって、引用例に記載の如き発泡成形後に一々芯材を発泡体から分離させて注射器等によって補修するという極めて面倒な作業を不要となし得、工業的効果を飛躍的に増大せしめ得たものであることも、また、当然に理解されるところである。

そして、このような本願発明によって達成される格別な効果が、引用例に記載のように芯材の表面を被膜で単に覆うだけでなく、本願発明においては被膜を芯材に被着した構成上の差異に基づくものであってみれば、そのような構成上の差異には、格別の技術的意義が認められるべきであることは、学説および判例の認めるところであり、これに反して、そのような構成上の差異を、特別な技術的理由を付することなく否定した原判決には、理由不備の違法性があり、また、「構造上の差異により、その工業的効果を著しく増大せしあるものであるときは、右構造上の差異は、通常当業者において特考を要しないで、容易に変更しうる構造上の微差に過ぎないということはできない」とする従前の判例(昭和一一年一二月一六日大審院判決・昭和一一年(オ)第一三五〇号(第一法規出版株式会社刊行の「判例工業所有権法」に掲載された判決要約文を、附属書類として添付する)等参照)に対して、判例違背の違法性、又は特許法第二九条第二項の法令解釈の誤りを有しており、これらの点においても、原判決には、破毀理由が存するものと言わなければならない。

ハ.以上のとおりであるから、原告らの請求を棄却するとした原判決には、明らかな法令違背が存しており、右の法令違背が判決に影響を及ぼすことは明らかというべく、原判決は破毀されるべきものである。

以上

二、附属書類

(一)参考図面 一通

(二)本願公開公報(特開昭57-120421号公報) 一通

(三)左記各事件の判決要約文 一通

昭和四三年(行ケ)第二三号

昭和四七年(行ケ)第一八号

昭和五二年(行ケ)第一九九号

昭和五一年(行ケ)第一四三号

昭和五〇年(行ケ)第七三号

昭和一二年(オ)第一五五〇号

昭和一一年(オ)第一三五〇号

(附属書類(三)省略)

附属書類(一)

(参考図面)

〈省略〉

附属書類(二)

〈10〉日本国特許庁(JP) 〈11〉特許出願公開

〈12〉公開特許公報(A) 昭57-120421

〈51〉Int.Cl.2B 29 D 27/04 // B 32 B 5/18 B 62 D 25/00 識別紀号 102 庁内整理番号 2114-4F 7603-4F 8108-3D 〈13〉公開 昭和57年(1982)7月27日

発明の数 1

審査請求 未請求

〈54〉芯材付発泡製品の製造法

〈21〉特願 昭56-5806

〈22〉出願 昭56(1981)1月16日

〈72〉溌明者 中島明

小牧市大字北外山3600

〈71〉出願人 東海化成工業株式会社

小牧市大字北外山字下小管4203番地の1

出願人 東海ゴム工業株式会社

小牧市大字北外山字哥津3600

〈74〉代理人 弁埋士 中島三千雄 外2名

明細書

1. 発明の名称

芯材付発泡製品の製造法

2.特許請求の

(1) 上及び下からなる発泡を使用して、内に定の芯材をセットし、発泡を発泡せしめることにより、該芯材の一方のに発泡体を一体的に形成せしめた芯材付発泡製品をするにあたり、該芯材の発に泡体が形成されるの面に着して該芯材をうを存在せしめると共に、のを上と下にてして、発泡材料の発泡を行ない、を介して所の発泡体を芯材の一方のに一体的に形成することを特とする芯材付発泡製品の製造法。

(2)芯材を発泡形にセットするに先立って、該芯材に対してがせしめられる特許請求の范囲1紀載の製造法。

(3)前記芯材を発泡成形にセットし、ついてかかるセットさた芯材に対して前記を被着乃至は形成せしめて該芯材を覆った後、所定の発泡材を発泡せしめる特許請求の第1項記載の法。

(4)前記発泡体の表皮となる表皮材料を前記発泡成形内にセットせしめ、該表皮材料と前記芯材上に被着するとの間において、前記発泡材が発泡せしめられる特許請求の第1項乃至のいずれかに記載の製造法。

3. 発明の詳細な説明

本発明は芯材付発泡製品の製造法にり、特に芯材付発泡製品の製造にして、芯材への発泡材料の侵入を効果的に防止せしめ得る方法にするものである。

従来より、内製品、例えばセフティバッドなどのバッド製、クッション製、ブドア等にいられている芯材付発泡製品は、一般にあるいは相方材への取付け材としての所定形状の芯材とその一方のに発泡成形された所定さの発泡体用とを有してり、例えば第1図に承されるさから成っている。即ち、第1図はセフティバッドのを示すものてあり、芯1には手への取付け用のポルト2ポス(図示せず)が設けられていたり、のたの口部1aや射出成形による芯材形成のための穴1bなどか明けられている。そして、かかる芯材1の一方の側()には発泡成形によって所定さの発泡体が形成されると共に、にそのにもがけられて、製品形状を出しているのである。

ところで、このような芯材付発泡製品としてのセフティバッドは、従来より第2~6図に承すき手法にて製品されている。即ち、先ず、上6と下6からなる発泡成形をいて、下6内に予めされた表皮(材料)4をセットする一方、上6内に出入可能なピン7などそいて芯材1を一的に定し、セットせしめた後(第2図)、第2図に示す如く注入(ングヘッド)からウタンなどの発泡材料を内に注入せしめ、その上6と下6とをじてオーブン(例えば40~60℃)内にて加減()を行なわしめることにより(第4図)、の如き製品形状の発泡品を得ているのである。

して、このような発泡成形手法にいては、芯1と上とそ的にに着させることが出来す、従って芯1(発泡体第3が形成されないの)へ材料がり込み、レタン洩れをし、第5図の如く芯1に10を発生せしめている。このため、相手材との付上必要な所(例えばポルト2部分など)にあってむ、洩れ出たを出しなければならす、またかかる発泡材料の洩れによって不一となり、第図にす如き11が発生したり、発泡体成1のうるかされて、製品不をしくめているのである。更に、芯材1としては、タレンなどの材料と本来発泡によくし得るように材料がされているため、かかる洩れ出たバリ10がり作によってもにされす、それなどの製品にも外が要求される製品にあっては、芯材の上に裏をする必要があるのを内在している。

また、かかる芯材1の面製への発泡材料の洩れによって、上のがくなり、製品の成形不良が発生するがあり、このため上第5図に対してを多用している。如えて、芯材1に必然的にけられる穴1などからの是発泡材料の洩れを止するために、かかる穴1などに対しては、第に示される如くテープ12をることも試みられている。しかしながら、このようなのやテー12の付けは洩れのを本的にさせるものでない一方、それもの作の挿入によって発泡成形工の作工を増加し、またなものとし、いては製品コス1を上せしめるを起する。

ここにおいて、本は、かかる事情にてされたものであって、その目的とするところは芯材への発泡材料の侵入を阻止して、発泡材料の発泡不や製品れなどのを的にせしめた、芯材付発泡製品のを提供することにある。

そして、かかる目的を成するために、本発明は、発泡成形にセットされた芯発泡体が形成されるのにして芯材をりを存在せしめると共に、のをを成する上と下とによってしつつ、所定の発泡材料を発泡せしめることにより、を介して所定の発泡体を芯材の一方のに一体に制成するようにしたことにあり、これによって発泡成形(一般に上)にセトされた芯材はにてれた状下にあいて発泡成形にされることとなるため、芯材に穴や口があっても、またに対して芯材がされていなくても、芯材の、すれはと芯材とのに発泡材料が侵入するようなことはくないのてるあり、それ発泡材の洩れにする出不や汚れなどのがにされるに至ったのてある。

以下、をしつつ本発明をに具体的にすることとする。

第~図に示す本発明方法の一は、前記従来となセフィバッドのである。

先ず、第6図にいて、上と下6とからなるはきされて、下6内に予め所定の形状に空成形などの方法によって成形された、などの成の(材料)16がセットせしめられることは、従来とである。しかし、上5にセットされる芯材16はその一方の(発泡体17が形成される)のになどな平にて被着せしめもれに被18をしている。この被(フイルム)1は、ビ、、ガリスチレンなどの合成からなる所定さ、一般に0.06~1.の、によりまでのさのものであって、予め空成形などの方法によって芯材15を覆うように成形され、被着せしめられてむり、つ示の如く、その1が該芯材15のよりも所定長さ(巾)にびて、上6形状に沿うように成形されている。な、かかる芯材16上への被1の形成は、成形されたを芯材にり付けより、そののにてせしめたりする方法の、芯材にをスフレーしより、に浸したりする方法などによってもであり、れにしても芯材16が1にてわれるようになればよい。

そして、かかる1が被着された芯材16は出入可能なピン7などによって上にセットせしめられるが(第6図、第7図)、かかるセットによって芯材16は上5図上に被16にてされた状となり、これによって該芯材16にけられているポルト穴や成形穴、口部など、更には芯材16のが1にてわれるようになる。また、注入からレンなどの発泡材料内に注入せしめよ、上5と下4とをじれは、上6と下6との間で1の1が15のと共にされるようになり(第3図)、芯材16のと上とのも1にてわれろようになるのである。

従って、このようにめした発泡成形を、従来とにオーブン内に入れて、例えば4~0℃の温度に持することによって加硬(発泡)を行なわしめても、発泡材料は内の被1と表皮との間で発泡することとなり、て1をして所定の発泡体17が該芯材16の一方のに形成されることとなり、それ第に示される如く、芯材16に形成されているの(ポルト穴、成形穴、口など)や芯材16の上5とのなどから発泡材料が芯材16のに洩れてり込むようなことはくくなっよのであり、そしてそれによって注入にう発泡材料の発泡がに行なわれて均一な発泡が成され、て従来の如不均一な発泡による空の発生やムによる製品不のをにし、不のしい下をりたのである。

そして、かかるをしつつ成形してられる発泡製品は、発泡成形よりとにして取り出されることなるが、それはに示される如くにから外方にびる(1部分)1を有するのみであるため、1がその()にいてセット(トリング)されることによりまされ、またに製品口となる分2に存在する被1や皮16されることにより、従来のさバリ取り(上け)作などをくすることなく、そのまま10図に示すとしていられ得るのである。

このように、本発明によは、にセットされる芯材16が上5上に1にてわれた下にいて、に芯材16のの孔やが16にてわれた下において、配置され、発泡成形が行なわれるため、1を介しての発泡体17の形成となって芯材16へのレンの発泡材料の洩れがとなり、似ての如き不均一なによる、ムの不発生のを可能ならしめた、かかる発泡材料の洩れ()をするのにしていたな工をくし、特に芯材に付いている相平がへの付のポルト及び穴などのバリ仕上げをく不とし得たのであり、、如えて洩れ出た発泡材料による16の上5への付着も全くする必要がないため、上からのをしくするためののも必要でなくなり、それその作からも完全にされるに至ったのである。

また特に、プドア等の知く、所が表となるために製品までも性能が要求される製品については、本発明に従えば汚れ等のがされるために、芯材16をそのままとすることが可能となり、それによって従来の如き取り付ける必要がくなくなり、その取付け工、取付け費用、製品の重量増加などのもくし得るのである。

さらに、本発明にあっては、芯材16と発泡体1とのに介する1が上のとなるため、製品のみ、強度を向上せしめ得、またウレタンなどの発泡材料からの成分行による芯材の強度などのの低下を防止し得ることも、二次的としてされ得るのである。

なお、本発明は、の具体例にのみ定してされるものではしてなく、本発明の旨をしないりにいてのにづいてなる変更、修正、改を如え得るものである。例えば、発泡材料としてはレンのは、のの材料をも使用することが可能であり、また上では発泡体第17に形成した(材料)1を発泡成とに一体的にさせているが、これに代えて公知の、発泡成形工程においてに発泡体層の表面に表皮を形成する方法、所スヤンレスを用することも出来る。さらに、1は、一般に芯材16を体的にうように芯材16上に被着されることとなるが、例えば口となる分2においては1が1と共に上6と下6との間に圧されるようになるので、部分に度の穴が在していて発泡材料の洩れがされるようなことはなく、それそのような洩れが発生しないような部分における穴()の存在はされるものである。

また、にあっては、芯材16の上5へのセットに先立も、芯材1上に所定の1がされてり、にかかる方法において1乃は形成上の優れたがめられているが、かかる方法のに定されるものてなく、所定の芯材を(上)にセットした、芯材上に所定のを、形成せしめる手法などもに用することが出来る。そのにおいて、にセットした芯材に対して所定のを乃は形成するには、のり込みやその他による、更にはスプレー等が用される。そして、このようにして所のが芯材上に乃は形成された、第7図乃至第図の工をて10の如き製品が製造されるのである。

4. のな

第1図は従来のセフティバッドを説明するための、第2図乃至第6図はそれぞれ従来のセフティバッドの製造工を承すであり、第図乃至第1図はそれぞれ本発明に従うセフティバッドの製造工程を承す図、第10図は本発明に従って得られたセフティバッドを示すである。

1.16:芯材

2.17:発泡体

4.15:度

1:

5:上

6:下

7:ピン

8:注入

9:発泡材料

10:バリ

11:交

12:テープ

出願人 東海化成工業株式会社

同 東海ゴム工業株式会社

代理人 弁理士 中島三千雄

第1図

〈省略〉

第2図

〈省略〉

第3図

〈省略〉

第4図

〈省略〉

第5図

〈省略〉

第6図

〈省略〉

第7図

〈省略〉

第8図

〈省略〉

第9図

〈省略〉

第10図

〈省略〉

公開特許公報

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

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